2014年11月2日日曜日

叢書セミオトポス9 『着ること/脱ぐことの記号論』

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新曜社の渦岡謙一氏から
先日、下記の書物を御贈りいただきました。

日本記号学会 編
『叢書セミオトポス9 着ること/脱ぐことの記号論』
新曜社、2014年10月10日発行。


目次をひらくと、同書の第四部に、元学会長としての
山口昌男先生の想い出を語りあう日本記号学会の方々の座談会記録が掲載されており、今回この本を贈ってくださったことの意味が判りました。

第四部 日本記号学会と山口昌男
「山口昌男先生を偲んで」
吉岡洋・室井尚・立花義遼・岡本慶一 (敬称略)
pp. 157-187

さっそく拝読すると、日本記号学会の発足時における
山口昌男とパース研究者の位置づけや、『記号学研究』創刊号掲載の山口「源氏物語論」とバタイユ「ジル・ド・レ論」との関わりなど、冒頭から興味深い話が続きます。
私にとっての圧巻は、座談会出席者の方々が「大政奉還」と形容する学会長就任以後に、山口先生が次々と仕掛けられた研究大会テーマの概要でした。なかでも、『暴力と戦争』をテーマとした2002年大会で示唆されたという「刑余者」の問題系には、徒党論との関連で、考えさせられるところあり。
同書第三部に掲載されている木下誠さんのドゥボール論も味読。充実の一冊です。