2016年9月13日火曜日

初秋のリレー講義

vers le soir, Ochanomizu
勤務先の秋学期は来月開始ですが、昨日は四大学連合のつながりで、東京医科歯科大大学院のリレー講義を担当してきました。

「世界の文化と医療」という題目の講義で、わたしは人類学のオーソドックスなテーマ、病因論について
連続2コマ分のお話をすることにしました。

東京医科歯科大で例年この講義が組まれているのは、医歯学総合研究科の修士課程MMAコース(医療管理政策学コース)です。履修要項には、「病院管理者や医療政策などの立案にたずさわる社会人を対象として、医療管理や医療政策の分野において指導的立場で活躍する人材の養成をはかるコース」とありますから、その世界ではすでに相当な経験を積まれた、プロフェッショナルにあたる方々が対象となります。それゆえ事前に予想していたとおり、1コマ目の話題提供こそひとまず人類学としての務めをはたしたものの、2コマ目のディスカッションからは、むしろわたしのほうが、医療の現場について受講者のみなさんから多くのことを学ばせていただく場となりました。万が一ディスカッションが盛り上がらなかったときのために用意していた第二のレジュメは、幸いなことにすべて無用となったわけです。長年にわたり助産師の仕事を続けてこられた方、東日本大震災の犠牲者の亡骸に医師として真向かわれた方、国際診療の現場で医療コーディネーターをされている方。おひとりおひとりの発言にはおのずとたいへんな重みがそなわっていて、忘れがたい言葉がいくつか克明に記憶に残りました。